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「高校生一護と園児チビ」


『オレ…バイトするわ…』

そう、ため息と共に吐き出した一護の目の前には、家計簿を真剣に見つめながら
うんうん唸る遊子。

隣には何十種類という旅行パンフレットの中から予算内の格安パックを漁る夏梨と一心。

そして少し離れたリビングの床には、高額で手の届かなかった旅行のパンフレットでなにやら折り紙のまねごとをしている冬獅郎。

来月に控えた連休に、家族で3泊程度の旅行をしようと言い出したのは父親。
普段は自分が病院を経営していることもありなかなかまとまった休みもとれない。
去年までは別に誰も旅行などと口に出すことも無かったし、日帰りでどこかに遊びに行けばそれで満足だったのだが。
一心はそれなりにそんな子供達を気にしていたようだ。

昨年この家にやってきた冬獅郎。
黒崎家の4人が頭を抱えているのはこの無邪気に旅行パンフレットを折ったり広げたりしている子供が原因だった。

先日冬獅郎を含めた5人で大型のショッピングモールへ買い物へ行った時のこと。
この家に来てもうすぐ1年になろうというのに未だに一護以外には何かと遠慮しがちな冬獅郎が、旅行代理店の前で立ち止まり、壁一面に貼られた、雲の上を飛ぶ飛行機の写真をキラキラした目で見上げ、『あれ!乗りたい!』と珍しくも大きな声を上げ指差した。
そのまま冬獅郎は一護のトレーナーの裾を引っ張りながらその写真の元へ連れて行き、乗りたい乗りたいと繰り返した。

普段は滅多に見ない冬獅郎のその興奮した姿に一護は驚いてただ『あぁ…』と答えるだけだったが、遊子や夏梨までもが乗ってみたいなどと言い出した。
しばらく後ろで傍観していた父親が、それならみんなで旅行に行こうと言い出した。

善は急げと、あれこれパンフレットをかき集め、南に行きたいだの北で今有名な動物園に行きたいだのと言い合いながら家に帰った。
海外はさすがにムリだったので、国内で…と早速家に帰った一行はパンフレットを広げ、物色を始めたのだったが……。

黒崎家はそれほど家系が苦しいわけではない。
だが、今まで自分からあれが欲しい、どこへ行きたいなどと言ったことの無い子供達だったし、何よりもこの家に来て初めての冬獅郎からのおねだりに父親を初め、全員がせっかくなのだから…と出来るだけいろいろなプランを盛り込もうとした結果、想像を多少超えた出費になりそうだ…ということだった。
飛行機に乗らず近場で済ませれば、全員の意見を聞き入れられるところはいくらでもあるのだが、肝心の冬獅郎のおねだり「飛行機に乗りたい」が達成されなければ意味が無い。

あーだこーだと頭を悩ませた結果、何ヶ月か貯金すれば簡単に解決できそうなことは判明したが、大きな連休は来月に迫っていたし、その先何があるか分からない。
うえに、冬獅郎の興味があるうちに飛行機に乗せ喜ばせてあげたいし、それで家族ともっともっと打解けてほしかったから、急ぎたかったのだ。

仕方が無い、と旅行の日程を短くするしかないかな…と遊子が呟いた顔があまりにも可哀想で、一護はいたたまれなくなった。
そこで思いついたのが、「自分がバイトすること」だった。

旅行代金は現在の貯金を切り崩し、減った分は一護が稼いで貯金に戻す…という考えだ。

『おにいちゃん…そこまでムリしなくても…』
『だいじょーぶだって!心配すんな!バイトの一つや二つ…』
『そうじゃなくて…』

そう言った遊子の視線の先には旅行パンフレットで紙飛行機を作って飛ばす冬獅郎の姿。

『まぁ…しばらくは我慢してもらうよ…こいつの為だしな』
『うん…でも…』

遊子の心配も分かる。
何しろこの子供は一護にしかなついていない。
家族にはだいぶ慣れてはきたが、慣れた…という程度で、完全に心を許していないのは誰もが知っていた、
早く全員に慣れてほしいが、急いでどうこうなるものでもないし。
しかし、一護はいい機会だとも思った。
少しは自分のいないこの家に慣れてもらい、更に旅行でみんなともっと仲良くなれれば…。

『ま、とにかく明日からバイト探すよ』
『うん、ごめんねおにいちゃん』
『すまんなー一護!父さんがもっと稼いでためておけば…冬獅郎くんのことは心配するな!父さんが全身全霊で毎日可愛がっておくからな!』
『それはヤメロ…』

そうしてなんとか当初決まりかかっていたプランで旅行を申し込むことに決定し、一護は早速翌日からバイト探しを始めることとなった。

そんなことはつゆ知らず、学校の帰りにバイトの面接に寄ったため帰りの少し遅くなった一護に、ご飯を食べないで待っていた冬獅郎が満面の笑みで抱きついた。

『おかえりぃ!いちご』
『ただいま』
『いちごぉ…おなかすいたー』
『悪ぃ…遅くなってごめんな?』
『はやく!はやくくおう!』
『はいはい…待ってろ着替えてくっから』
『うん』

元気に返事する冬獅郎の頭を撫でて一護は着替える為に自室へとむかう。
その後ろからちょこちょことついてくる冬獅郎がたまらなく可愛らしい。

(オレがバイト始めたらこいつ大丈夫かな…)
あまりにも自分にべったりなこの子をほったらかしにするのはやはり気が引けたが、別に家にひとりぼっちにさせる訳でもないし、毎日働く気もなかったから大丈夫だろうということにした。

一護が着替えている間もとたとたと一護の周りを走り回り、一護の脱いだ制服を引っぱり回している。

『こら!冬獅郎!しわになるだろ!返せ!』
『やだー!』

追いかけて制服を取り上げても冬獅郎は拗ねるでもなく、今度は一護の足に抱きついてきてくりくりした大きな瞳で見上げ、

『ごはんー!』

と急かしてくる。
あまりに可愛らしくて、一護は思わず抱き上げふわふわのほっぺにキスをした。

『えへへ…くすぐったいー!』

むずがりながら笑う愛らしい姿に、一護も微笑んだ。

二人きりだとこんなにもよく笑うし、元気もいいのだが、他の誰かが混じったり、幼稚園ではなぜあんなにも人見知りなのかが不思議だった。
一護的にはこんなに可愛らしい、愛しくて仕方ない子が自分だけになついてくれるのは嬉しかったが、いつまでもこのままではいけない、とも思っていた。

そんなことを考えながら、一護は冬獅郎を抱き上げたままリビングへ降りて行く。

翌日、家からさほど遠くないファミレスから、先日の面接の結果の電話が入った。
結果は採用。
早ければ明日からでも研修に来てほしいという。
一護は承諾した旨を伝え、電話を切った。
初めてのアルバイトに期待と不安が入り交じる。
足下では、冬獅郎がしっかりと一護のズボンを握りしめ、何事が起きたのかと不安そうにじっと視線を送ってくる。

一護はしゃがんで冬獅郎の小さな両肩に手を乗せ、顔を覗き込んだ。
冬獅郎はきょとんとした目で一護を見つめ返してくる。

『冬獅郎、オレ明日からアルバイトするんだ。』
『?あうばいと?』

初めて発音する言葉がうまく言えないところが可愛らしい。

『ああ、だからな帰りが今までより遅くなっちまうんだ。冬獅郎いい子だから、遊子と夏梨と一緒に遊んでてくれな?ちゃんと飯も食うんだぞ?』
『…うん?』

なんだか良く分かっていない顔だが、いい聞かせられて返事だけはした。

学校が終わってからのシフトなので、帰りはどうしても遅くなってしまうし、食事補助もあるという話なので、一護はバイト先で夕食をとるだろうと考えていた。
今までは学校の用事で遅くなったりしていても、冬獅郎は一護を待って一緒に食事していた。
一護と一緒でなければ食べない、という訳ではないが、遊子の話では言い聞かせるまでなかなか大変なようで、食べ始めてもほとんど残してしまうと言う。

なんだかとてつもなく不安になってきたが仕方が無い。
このまま一護が面倒見続けていては自立出来ない子になってしまう。
自分からまず子離れしなくては…と一護は大げさにうなだれた。

『いちご…あしたおとまりなの?』
『え?いや…違うんだ』

どうやら半年程前の自分の「お泊り保育」のようなものに一護が行くのかと聞いているらしい。

『ちょっと帰りが遅くなるだけだから、ちゃんと帰ってくるよ』

安心させるように頭をポンポンと叩くと、両手を自分の頭に乗せ『へへ…』と笑う冬獅郎。

冬獅郎が理解しているかは定かではないが、とにかく明日からバイトが始まる。
期待と不安、そして大きな心配を抱えながら一護は冬獅郎を連れて風呂へ入ることにした。






続くけども。








どんどん頭が弱くなる日番谷隊長。
困った。
どうしようw
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わーい!!!雪だよ!すっごい降ったねぇ…
仕事やもっと降ってるよこの方は大変ですよね……
でも見ててキレイvvv
あの子が降らせてるとおもうともっとキレイwww






『わぁ!ゆきだ!!』
『おぉー…ほんとだすっげー降ってんなー…積もんのかなこれ?』
『いちご!つもったら雪だるまつくれる?』
『あー…そうだなもっともっと降ったらな』

初めて見る訳でもないだろうに、雪を見てはしゃいでる冬獅郎。
なんだかそんな姿を見ているだけでオレまで嬉しくなる。
ちっちゃい手を窓にぺたんと付けて食い入るように外を見ている冬獅郎の瞳はキラキラしていて、いつも以上にキレイに見えた。

『明日起きたら積もってるといいな』
『うん!』

そう言いながらオレも窓の外を見るとうっすら庭に雪が積もっている。
このまま寒さが続けば明日には多少積もるだろう。
今にも外へ遊びに行くと言い出しそうな冬獅郎に早く晩飯を食わせて寝かせないと。

『冬獅郎!ほら飯食うぞー』
『…うん』

生返事が返ってくる。
相変わらず外を眺めたままだ。
オレは後ろから冬獅郎の小さな身体を抱き上げ、夕食の準備の整ったダイニングテーブルへ連れて行った。

『もっと見たいよぉ!』
『明日になったらもっともーっと積もってるんだぞ?それまでのお楽しみだろ?』
『だってぇ…』
『それより早く寝て、明日早起きしないとな?たくさん遊べねぇぞ?何しろお前はお寝坊さんだからな』
『オレおねぼうじゃないもん!』
『よし!じゃあ早く起きような』
『おう!』

元気に返事をしてプラスチックのフォークと素手を使ってパスタを食べ始めた。
フォークでパスタを持ち上げて、手で口に運んでいる。
いつになったら汚さず食べられるようになるのか…
食事中何度も何度も冬獅郎の口の周りと手を拭いてやりながらおれもなんとか腹を満たした。

飯を食い終わった冬獅郎は、直ぐさま椅子から飛び降りて窓へむかう。
さっきオレが閉めたカーテンを、悪戦苦闘しながら半分ほどあけ、外を覗き込む。
どうやらまだまだ降っているようだ。

『あ!いちご!つもった!つもったよぉ』
『お?どれどれ』

興奮した冬獅郎の声に呼ばれ、庭を覗くと、3センチ程だろうか、確かに積もっていた。

『でもまだまだだな。雪だるま作るんなら、もっとたくさん雪が必要だぞ?』
『えー…どんくらいだよ!』
『冬獅郎、あの庭の花壇あるだろ?あれが見えなくなるくらいだな』
『あれが?』
『そう、だから、今日は早く寝て、きっと冬獅郎が寝てる間にうーんと積もるから』
『そっか…わかった』
『じゃあ 風呂はいろ?』
『うん』

いつもはなかなか言うことを聞かず、風呂に入れるのも一苦労なのだが、今日は早く明日になってほしいのか、素直に頭も洗わせてくれたし、ちゃんと肩まで浸かって10数えた。

冬獅郎は風呂から上がるとさっさと自分のベッドへ行って、布団に潜り込んだ。
相当明日の朝が楽しみなようだ。

『寒くないか?』
『うん。いちごはねないの?』
『オレはまだいいよ、読みたい本あるし。』
『ふー…ん。あしたねぼうするなよ!』

心底不安そうにオレの寝坊の心配をしてくれた。
あんまりにも可愛いもんだから、思わず抱き寄せてほっぺにキス。

『大丈夫だよ。少ししたらオレも寝るから。な?』
『ちゃんとだぞ!』
『ああおやすみ』
『おやすみ』

それを聞いて安心したのか、布団があったまったのか、冬獅郎の瞼が徐々に閉じて行く。
可愛らしい寝顔をしばらく堪能したオレは、リビングへ降りて読みかけの本を読むことにする。
時計を見ればまだ20時過ぎたばかりだ。

学校へ行っている以外はほとんど冬獅郎の世話に追われているオレはこの時間からが唯一の自分の時間。
友人からはよく『大変だなお前。弟の世話ばっかりで…』なんて言われるが、冬獅郎の世話は全く苦にならないし、あの笑顔が見れるのだったらオレは何でも出来そうな気さえする。

一年前にうちに養子に来た頃は、本当に人見知りで、隅っこでぐずっているか、いつの間にかいなくなったりして、周りをずいぶん心配させてくれた。
オレもオレの家族も必死になって慣れてもらおうとしたが、なかなか打解けてくれず、普通に一緒に飯を食えるようになるまで2ヶ月程かかった。
だが、今でもオレ以外には少々警戒しているようで、おやつを作ってくれたり、優しく話しかけてくれる遊子には多少慣れたが、夏梨やオヤジにはまだ警戒心が取れないようだ。
なんでこんなにオレになついてくれたのかはわからないが…。

ふと気になって外を見ると、相変わらず雪は降り続いていて、このまま行けば明日にはとても大きな雪だるまを冬獅郎に作ってやることが出来るだろう。
どんな顔をして喜んでくれるだろうかと思うと、少しわくわくしてきた。

『一にぃ…なに笑ってんのさ…気持ち悪いなー』
『あ?なんだよ笑ってねーって』
『やらしーことでも考えてたんじゃないの?全くこれだから男子中学生は…』
『うっせーな!生意気な口聞きやがって…』
『ね、おにいちゃん。明日みんなで雪合戦やろうよ!』
『いいけど…』
『みんなで遊んだら冬獅郎君ももっと仲良くなれるよ!』
『そ…っか。そだな』

明日は朝から雪だるまつくって、それからみんなで雪合戦して…
たくさんたくさん遊んでやろう。

冬獅郎がもっとオレの家族と打解けてくれるように。

雪はまだ降り続いている。

どうかやまないでくれよ…と思いながら、オレは手元の本へ視線を落とした。


いつまで続くかこの自分の園児ブーム……
さすがにここまで自分園児属性だとはおもわなかったれす…w

ちっちゃい日番谷くんが、一護さんのお膝にのってブランコに揺られながら寝ている図…で今日一日脳内フル回転@ちょ…w
たったそんだけで一日持つ安い脳みそwww


まち沢さん
いっそ目覚めてしまってくださいwめっさ楽しいれすようvvv
違う世界の扉をあけましょーよーwww
『だってあいつが…いちご…いちごのわるくちゆうんだもん……』
『え?おれの?』
『おれがね…いちごひとりじめしてるってゆわれたから、ちがうもんってゆったの!
そしたら…いちごは…おれのことほんとはじゃまだって…ひっく…おれがいなかったらいちごは…っく…もっと…たのしーって……ふぇぇ…』

頑張って話してくれていたのだが、とうとう泣き出してしまった。
優しくなだめつつ、まだ一生懸命話してくれる冬獅郎の話をまとめると、

冬獅郎が入園してから、一護はとても世話のかかる子だというのもあるが、少しかまい過ぎかと思う程冬獅郎の世話を焼いた。
冬獅郎もとんでもなく人見知りだったのだが、一護には過ぎになつき、一日中一護から離れようとしない。
冬獅郎がまだいなかったころは、みんな平等に一護と遊んだりお弁当を食べたりしていたのが、冬獅郎が通ってくるようになってから一護は確かに冬獅郎を贔屓してしまっているのは否定できなかった。それは一護も反省していたのだが、如何せん冬獅郎が一護にしかなつかないというので、周りからも自然の流れで暗黙の了解となっていた。
それが周りの園児達からは「冬獅郎の一護先生独り占め」となったのだ。

そして、「おまえなんかいない方がいい」と言われた冬獅郎はショックを受けて、思わず近くに転がっていた積み木を投げてしまったということだった。

一護としてはどちらが悪いとも言えず、とても複雑だった。
結局悪いのは一護たち大人の方だったから。

『いちご…?おれきらい?…いなくなったほうが…いいの?』

涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げて悲しそうに言葉を紡ぐ冬獅郎。

『ばか!んなわけねーだろ!オレは冬獅郎が大好きだよ』
『ほんと?』

ほんともほんと。
はっきり言ってしまえば、一護は異常なくらいこの膝の上で小さくなって縋りついてくる子供が好きだった。
弟のようで、息子のようで…それ以上のなにか。
少し危ないかもしれないと思うくらいに。

『でも…あの子の言うことも分かるよな?』
『…うん』
『みんなとも遊べるようにしなきゃな』
『……』
『もちろん冬獅郎も一緒にだぞ?』
『…え…?』
『冬獅郎さ。帰りはオレと一緒に帰るし、ママが帰ってくるまでおれとたくさん遊べるだろ?』
『うん』
『だから、幼稚園にいるときはみんなとも遊ぼう?』
『…みんなと…?』
『みんなと友達になって一緒に遊べば楽しいし、ケンカなんてしないぞ?』
『いちごもいっしょ?』
『あたりまえじゃん!』

そう言って一護は冬獅郎の頭をくしゃっと撫でた。
冬獅郎は少し不安そうな顔をしながら考え込んでいるようだ。
元々たくさんの人数で大騒ぎしながら遊ぶ子じゃない。
どうしていいのか分からないのだ。

『じゃあ、早速明日みんなで遊ぼうな?』
『う…うん』

まだ少し不安そうだが、とりあえずは頷いてくれたようだ。

『よし、それじゃあ、帰ろう?冬獅郎』
『あ…でも…』
『ん?』
『あし…あしがいたくてあるけないよぉ…』
『え!怪我でもしたのか?』

一護は驚いて問い返しつつ、冬獅郎の足を片方ずつ念入りに調べる。
大きな怪我はしていないようだが、靴も履かずにここまできたのだ、足も痛くなって当然だった。

『ちょっと待ってろ!』
『いちご?』

近くにあった水飲み場で、一護はエプロンを外しそれを濡らした。
すぐにベンチに戻ってまだ片方履いたままだった破れた靴下を脱がせ、両足を念入りに拭いてやった。

『いちご…えぷろんが…』
『洗うから平気だよ。タオルとかないんだ、ごめんな?』
『ううん…』
『よしきれいになったな。

もう一度エプロンを固くしぼって、きちんとたたむと、一護は冬獅郎を抱き上げる。
すぐに冬獅郎の小さな腕が一護の首に巻き付いてきて、可愛らしいほっぺが肩口に埋まった。

『いちご…ごめんなさい…』
『……うん、もういいよ冬獅郎』

だいぶ疲れてしまったのだろう、ゆっくり歩いていると、公園の入り口当たりまで来たところですーすーと可愛い寝息が聞こえてきた。
少し揺らしても起きないことを確認すると、片手で冬獅郎を支え、濡れたエプロンを逆の腕に引っ掛ける。
ポケットからケータイを取り出し、とりあえず幼稚園に連絡を入れた。

冬獅郎が怪我させた子は軽い怪我で済んだようで安心した。
その子の母親もその程度の怪我はいつものことと、笑いながら言っていたらしい。
反対に出て行った冬獅郎のことを心配してくれていたようだ。

電話を切って、冬獅郎をきちんと抱きかかえ直し、また歩き出す。
明日はまずこいつらの仲直りからだな…なんて考えながらすやすや寝入っている冬獅郎の頭に頬を寄せた。
ふわふわの髪が気持ちいい。

ホッとしたら途端に腹が減ってきた。
そう言えば今日は午前で幼稚園は終わりなので、昼はまだだ。
やれやれ…とため息をつきながら、一護は帰りを急いだ。



結局次の日から、またチビちゃんの一護独り占めな日々が続くんだけどね。
わがまま&我慢嫌いだから。
なんだかうまくまとまんないです。
字書きの方はすごいですよね…。本気で尊敬です;;

『はぁ…はぁ…くそっ!冬獅郎どこだよ!』

息を切らせながら走り回る一護。
冬獅郎の行きそうな所なんてほとんど思い当たらない。
いつも一護の家か、近くの公園くらいにしか行かない。

『まさかな…』

立ち止まって思いを巡らせる。

一度だけ二人で休みの日に行った大きな公園。
いつも行く公園とは反対側にあって、大きな道路を渡って行かなければならないので、面倒なのと、危ないから一度しか連れて行ってない。
冬獅郎はその公園の大きな噴水を、目がこぼれ落ちそうなくらい見開いてじーっとみていたり、近所の公園には無い遊具で元気に遊んだりしていた。

いつかまた連れて行こうと思ってだいぶ経ってしまった。
まさか冬獅郎一人であそこまで行けるとは思えないが…
でも大通りまで勢いで出てしまえば、大きい公園の入り口がすぐ見えるので、あり得ないことではない。

一護は迷わず大通りに向かって走りだした。

(ちゃんと横断歩道渡れただろうな…!)
そう言えば近くに歩道橋もあった、それを登ったかもしれない。
小さい体で危なっかしく階段を上り下りする姿が目に浮かんで、一護は走るスピードを上げた。

ほどなくして大通りにでた一護は信号が赤なのを目の端にとらえると、迷わず歩道橋へ向かう。
道路から公園を隠すように植えられた木々に舌打ちをし、入り口まで走った。

まだ昼前ということもあり、公園はがらんとしていた。
犬の散歩をしている老人と何やら絵描き風の青年の姿が確認出来るくらいだ。

公園の入り口からすぐ近くに子供達の遊ぶ遊具が多く設置されており噴水もここにある、奥には小さな池や、散歩コースなんかも人々の憩いの場を目的として作られている。

一護はまず遊具の周りを探しまわる。

『冬獅郎!冬獅郎ーーー!!!』

姿が見えないのを確認すると、一護は公園の奥へと走る。
池の周りにはたくさんのベンチが設置されており、今は誰もいない……
…と思ったのだが、
「ぽちゃんっ」
と水音が聞こえた。
その音がした方へ目を向けると、一護からは裏側しか見えないベンチがある。

「ぽちゃんっ』
ベンチから何かが飛んで行き、池へ落ちているようだ。

一護はそのベンチにそっと近づくと上から覗いてみた。

『冬獅郎…』
『…!』

冬獅郎はベンチに座り、横にはどこから集めてきたのか小さい石ころがたくさんおいてあって。
どうあらそれを池に投げ込んでいたらしい。

『いち…ご…』

一護の姿を目にして、途端に問冬獅郎の顔が歪む。

『ふ…ぇぇ…』

泥の着いた小さな両手を顔に持って行って、泣き出してしまった。
よく見れば履いていたくつしたも片方無いし、かろうじて履いているもう片方も破れたり、泥で汚れまくっている。

『あぁ!冬獅郎!そんな手で目こすっちゃだめだ!』

一護は慌てて冬獅郎を抱き寄せて顔から手を離す。
着けていたエプロンでとりあえず手をごしごし拭いてやった。
その間もずっと冬獅郎は泣き続けていて、手を自由にしてやると一護にしがみついて
きた。

『いちごぉ…!』
『冬獅郎…』

とりあえず一護は好きなだけ泣かせてやることにした。
泣きわめいている子供には何を行っても聞いてくれないから…
背中をぽんぽん叩きながら、一護はベンチに座り冬獅郎を膝に乗せて抱きしめた。

『…ぅ…ひっく…ひぃっく』

少し落ち着いてきたようだ。
エプロンは涙と鼻水でべたべたになってしまった。冬獅郎相手では日常茶飯事だ。
一護はポケットからティッシュを出してまず冬獅郎の鼻を拭いてやって、次に涙を拭ってやった。

『冬獅郎?大丈夫か?』

出来るだけ優しく声をかける。
頭をなでながら囁くように言ってやると、冬獅郎は頭を一護の胸に擦り寄せてきた。

『冬獅郎…ちゃぁんとお話してくれるか?』
『……いちご…おこる?』
『怒らないから…何あったか教えてくれるか?』

冬獅郎は一護の顔をしばらくじっと見つめて、考えるように視線を彷徨わせていたが、さっきあんなに泣いたのにまたしてもおっきな目にたくさんの涙がたまってきた。

『…っ…だって…だってね』
『ん?…どうしたんだ?』

一護のエプロンをぎゅうっと握りしめながらた冬獅郎はたどたどしく話し始めた。


続くー……






で、ザンプの人気投票でつよ…。








とりあえず、チビちゃんはある意味予想通りとしてwww
グリ嬢も予想内だとか、一護はとりあえず安心していい一とか、石田頑張ったなとか
そんなことより、桃だろう…いや…いいんだけども、桃好きだし。

ってゆうより、ある程度予想できる10位までより、それ以下が知りたいのはあたしだけか?www


菊池桃子の娘にダメ出しされてる(髪型で)二宮君はどうなのかwww
髪切った方がカコいいよ!!!でもあたしは相葉くんが好きだがな!!!





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ヘタレですが頑張ります。すいません…なんか趣味丸出しで…。

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