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わーい!!!雪だよ!すっごい降ったねぇ…
仕事やもっと降ってるよこの方は大変ですよね……
でも見ててキレイvvv
あの子が降らせてるとおもうともっとキレイwww






『わぁ!ゆきだ!!』
『おぉー…ほんとだすっげー降ってんなー…積もんのかなこれ?』
『いちご!つもったら雪だるまつくれる?』
『あー…そうだなもっともっと降ったらな』

初めて見る訳でもないだろうに、雪を見てはしゃいでる冬獅郎。
なんだかそんな姿を見ているだけでオレまで嬉しくなる。
ちっちゃい手を窓にぺたんと付けて食い入るように外を見ている冬獅郎の瞳はキラキラしていて、いつも以上にキレイに見えた。

『明日起きたら積もってるといいな』
『うん!』

そう言いながらオレも窓の外を見るとうっすら庭に雪が積もっている。
このまま寒さが続けば明日には多少積もるだろう。
今にも外へ遊びに行くと言い出しそうな冬獅郎に早く晩飯を食わせて寝かせないと。

『冬獅郎!ほら飯食うぞー』
『…うん』

生返事が返ってくる。
相変わらず外を眺めたままだ。
オレは後ろから冬獅郎の小さな身体を抱き上げ、夕食の準備の整ったダイニングテーブルへ連れて行った。

『もっと見たいよぉ!』
『明日になったらもっともーっと積もってるんだぞ?それまでのお楽しみだろ?』
『だってぇ…』
『それより早く寝て、明日早起きしないとな?たくさん遊べねぇぞ?何しろお前はお寝坊さんだからな』
『オレおねぼうじゃないもん!』
『よし!じゃあ早く起きような』
『おう!』

元気に返事をしてプラスチックのフォークと素手を使ってパスタを食べ始めた。
フォークでパスタを持ち上げて、手で口に運んでいる。
いつになったら汚さず食べられるようになるのか…
食事中何度も何度も冬獅郎の口の周りと手を拭いてやりながらおれもなんとか腹を満たした。

飯を食い終わった冬獅郎は、直ぐさま椅子から飛び降りて窓へむかう。
さっきオレが閉めたカーテンを、悪戦苦闘しながら半分ほどあけ、外を覗き込む。
どうやらまだまだ降っているようだ。

『あ!いちご!つもった!つもったよぉ』
『お?どれどれ』

興奮した冬獅郎の声に呼ばれ、庭を覗くと、3センチ程だろうか、確かに積もっていた。

『でもまだまだだな。雪だるま作るんなら、もっとたくさん雪が必要だぞ?』
『えー…どんくらいだよ!』
『冬獅郎、あの庭の花壇あるだろ?あれが見えなくなるくらいだな』
『あれが?』
『そう、だから、今日は早く寝て、きっと冬獅郎が寝てる間にうーんと積もるから』
『そっか…わかった』
『じゃあ 風呂はいろ?』
『うん』

いつもはなかなか言うことを聞かず、風呂に入れるのも一苦労なのだが、今日は早く明日になってほしいのか、素直に頭も洗わせてくれたし、ちゃんと肩まで浸かって10数えた。

冬獅郎は風呂から上がるとさっさと自分のベッドへ行って、布団に潜り込んだ。
相当明日の朝が楽しみなようだ。

『寒くないか?』
『うん。いちごはねないの?』
『オレはまだいいよ、読みたい本あるし。』
『ふー…ん。あしたねぼうするなよ!』

心底不安そうにオレの寝坊の心配をしてくれた。
あんまりにも可愛いもんだから、思わず抱き寄せてほっぺにキス。

『大丈夫だよ。少ししたらオレも寝るから。な?』
『ちゃんとだぞ!』
『ああおやすみ』
『おやすみ』

それを聞いて安心したのか、布団があったまったのか、冬獅郎の瞼が徐々に閉じて行く。
可愛らしい寝顔をしばらく堪能したオレは、リビングへ降りて読みかけの本を読むことにする。
時計を見ればまだ20時過ぎたばかりだ。

学校へ行っている以外はほとんど冬獅郎の世話に追われているオレはこの時間からが唯一の自分の時間。
友人からはよく『大変だなお前。弟の世話ばっかりで…』なんて言われるが、冬獅郎の世話は全く苦にならないし、あの笑顔が見れるのだったらオレは何でも出来そうな気さえする。

一年前にうちに養子に来た頃は、本当に人見知りで、隅っこでぐずっているか、いつの間にかいなくなったりして、周りをずいぶん心配させてくれた。
オレもオレの家族も必死になって慣れてもらおうとしたが、なかなか打解けてくれず、普通に一緒に飯を食えるようになるまで2ヶ月程かかった。
だが、今でもオレ以外には少々警戒しているようで、おやつを作ってくれたり、優しく話しかけてくれる遊子には多少慣れたが、夏梨やオヤジにはまだ警戒心が取れないようだ。
なんでこんなにオレになついてくれたのかはわからないが…。

ふと気になって外を見ると、相変わらず雪は降り続いていて、このまま行けば明日にはとても大きな雪だるまを冬獅郎に作ってやることが出来るだろう。
どんな顔をして喜んでくれるだろうかと思うと、少しわくわくしてきた。

『一にぃ…なに笑ってんのさ…気持ち悪いなー』
『あ?なんだよ笑ってねーって』
『やらしーことでも考えてたんじゃないの?全くこれだから男子中学生は…』
『うっせーな!生意気な口聞きやがって…』
『ね、おにいちゃん。明日みんなで雪合戦やろうよ!』
『いいけど…』
『みんなで遊んだら冬獅郎君ももっと仲良くなれるよ!』
『そ…っか。そだな』

明日は朝から雪だるまつくって、それからみんなで雪合戦して…
たくさんたくさん遊んでやろう。

冬獅郎がもっとオレの家族と打解けてくれるように。

雪はまだ降り続いている。

どうかやまないでくれよ…と思いながら、オレは手元の本へ視線を落とした。


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