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『かみなり』
今日は朝から雨。
オレと冬獅郎はせっかくの休日を家に閉じこもって過ごさざるを得ない。
昼ご飯の後は冬獅郎を昼寝させなくてはならない。
なかなか大人しくは寝てくれず、今もオレから逃げるようにおもちゃで遊んだり、家中を走り回っている。
まぁ、メシを食ってすぐだし、もう少し遊ばせておいてもいいだろうとオレは食後にいれてもらった紅茶をすすっていた。
『いちごー』
『んー?どした、ねむくなったか?』
テレビを見ながら声だけで返していると、とてとてとオレのほうによってきた冬獅郎が、腹部を押さえてオレを見上げている。
『ちがうもん…おなかいたいー』
『お腹痛い?』
『うん…いたい』
『トイレか?』
『ちがう!といれいきたくない!おなかいたい!』
『何処がいたいんだ?』
しゃがんで冬獅郎の腹の辺りを触ると、小さな手でじぶんの腹の側面にオレの手を導いてくれる。
『ここー』
『ん?横っぱらか?』
『…ぱら?』
どうやら、昼飯を食ってすぐに走り回っていたので、横腹が痛くなったらしい。
オレも小さい時は良く食後に走り回っては腹を痛くしていた。
『だーいじょうぶだ。寝ればすぐなおるぞ?』
『ほんとか?ねるとなおるのか?』
昼寝をさせるチャンスと思ったオレは、これを口実にそっと冬獅郎を抱き上げて部屋へ連れて行く。
『お前、メシ食ってすぐ走ったろ?それで腹痛くなったんだぞ?メシを食ったあとはじっとしてなきゃいけないんだぞ?』
『そう…なのか?』
『そうだ。だから、今度からはちゃんと大人しくひるねだぞ』
『…ん』
上着は脱がせ、昼寝用のTシャツを着せてから小さな体を布団に寝かせた。
『まだ腹痛いか?』
『うん…』
『目つぶって、すぐ寝ちゃえば大丈夫』
『う…ん』
そっと腹を撫でてやっていると、すぐに冬獅郎の瞼は閉じた。
すやすやという寝息をたてはじめる。
気がつくと朝から降り続いている雨は、どんどん強くなっているようだ。
しとしとと振っていたのが、今ではザーザー降りだ。
カーテンを開けて外を伺い見ると、遠くの方に稲光が見えた。
『うわ、雷じゃん…こっちくるのかな…』
耳を澄ますとゴロゴロという音も聞こえ始めている。
オレはカーテンを閉め、部屋の明かりを消した。
足音をたてないようにそっと部屋を出てリビングに降りた。
先程読みかけだった漫画を読みながらすっかり冷めてしまった紅茶を喉に流し込んだ。
つづく
今日は朝から雨。
オレと冬獅郎はせっかくの休日を家に閉じこもって過ごさざるを得ない。
昼ご飯の後は冬獅郎を昼寝させなくてはならない。
なかなか大人しくは寝てくれず、今もオレから逃げるようにおもちゃで遊んだり、家中を走り回っている。
まぁ、メシを食ってすぐだし、もう少し遊ばせておいてもいいだろうとオレは食後にいれてもらった紅茶をすすっていた。
『いちごー』
『んー?どした、ねむくなったか?』
テレビを見ながら声だけで返していると、とてとてとオレのほうによってきた冬獅郎が、腹部を押さえてオレを見上げている。
『ちがうもん…おなかいたいー』
『お腹痛い?』
『うん…いたい』
『トイレか?』
『ちがう!といれいきたくない!おなかいたい!』
『何処がいたいんだ?』
しゃがんで冬獅郎の腹の辺りを触ると、小さな手でじぶんの腹の側面にオレの手を導いてくれる。
『ここー』
『ん?横っぱらか?』
『…ぱら?』
どうやら、昼飯を食ってすぐに走り回っていたので、横腹が痛くなったらしい。
オレも小さい時は良く食後に走り回っては腹を痛くしていた。
『だーいじょうぶだ。寝ればすぐなおるぞ?』
『ほんとか?ねるとなおるのか?』
昼寝をさせるチャンスと思ったオレは、これを口実にそっと冬獅郎を抱き上げて部屋へ連れて行く。
『お前、メシ食ってすぐ走ったろ?それで腹痛くなったんだぞ?メシを食ったあとはじっとしてなきゃいけないんだぞ?』
『そう…なのか?』
『そうだ。だから、今度からはちゃんと大人しくひるねだぞ』
『…ん』
上着は脱がせ、昼寝用のTシャツを着せてから小さな体を布団に寝かせた。
『まだ腹痛いか?』
『うん…』
『目つぶって、すぐ寝ちゃえば大丈夫』
『う…ん』
そっと腹を撫でてやっていると、すぐに冬獅郎の瞼は閉じた。
すやすやという寝息をたてはじめる。
気がつくと朝から降り続いている雨は、どんどん強くなっているようだ。
しとしとと振っていたのが、今ではザーザー降りだ。
カーテンを開けて外を伺い見ると、遠くの方に稲光が見えた。
『うわ、雷じゃん…こっちくるのかな…』
耳を澄ますとゴロゴロという音も聞こえ始めている。
オレはカーテンを閉め、部屋の明かりを消した。
足音をたてないようにそっと部屋を出てリビングに降りた。
先程読みかけだった漫画を読みながらすっかり冷めてしまった紅茶を喉に流し込んだ。
つづく
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今日はみずのさんと合同本を作る計画のお話をする為に池袋。
とっても誘惑の多い街www
まずは最初にまじめに話を使用ってことでお茶しつついろいろ話しするも、とにかく脱線…。
いや…ふつうにみずのさんとデートでテンション上がりすぎたんだよう。
あ、ちがった、話しする前に靴みたりサンダル見たりミュール見たり…そんでしまいにはスーツ買ったんだった…。
だって仕事でスーツ着まくるんだもん…。
昔のスーツが『もうダメ…ムリだっつの』って言い出したので。
でも、スーツを3990円で買いましたwwwwww
んで、それからお茶しにいったんだった。
しょっぱなから脱線まみれじゃん。
それなりに話がまとまったとこで、お昼にパン食べ放題のみずのさんとの行きつけの店へ!
いつもサラダ的なものバカ裏頼んでいるので、たまにはちゃんとしたもんにしようと『シェフのおすすめ』にしたら、牛さんのお肉でした。
やめたらよかった。
悔しいからパンを大量に食べました。
そして、それからまた靴見たり…。
みずのさんのお洋服のお買い物も!
とってもかあいいワンピとTシャツをお買い上げ。
『黄色は着た事無いから嫌』と言い張るみずのさんに、店員と二人掛かりで黄色がかわいいし、みずのさんに黄色は似合うとゴリ押しw
もはや店の店員と化したあたしの勝利vvv
だって本当に似合うんだもん!!!
あたしも服ほしいよう。
そして、次にアニメイト。
ほんっと週末のアニメイトは混みまくり…。
入り口にいきなりバサラ米があってぐったりw
値段を見て
『な…ん…だと…』
ってほんと高いー!!!
というか1キロの米がアニメイトで買える日が来ようとはwww
しばしアニメイトに滞在したものの、混み合い具合に疲れて出ました。
ジャンプ買って、ついでに『宮城ふるさとプラザ』へ。
って…バサラポスター貼り過ぎwww
何屋だよ…。
噂のバサラビールとバサラかまぼこが売ってる現場を初めて見て、やや感動…?www
宮城県がんばれー…。
そう言えば朝みずのさんと待ち合わせ前に地元の友達からメールがあり、『今白石にいるんだけど、片倉だらけだー』という報告がw
知ってはいたけど、身内に聞くとなんかドンとくるなあw
ふるさとプラザでホヤのしおからとおかしを買いました。
欲しいものはいっぱいあるけど、高いよね…あーゆーとこ。
実家帰ったら死ぬほどささかま食べよう。
ささかまと言えば、実家のママが作るおでんには必ずささかまが入っていた。
そしてみそ汁にも、サラダにも。
ささかまが刺身扱いで出てくる事もw
あ、天ぷらもささかまだったな。
っていうかいつでも冷蔵庫にあったから、ゴハンもささかま、おやつもささかま。
だからあたしにとって、ちくわは滅多に口に入らない高級品でした。
ちくわにきゅうり詰めたのがお弁当に入ってたら感涙www
おでんにちくわなんて、上京してから初めて食ったよ。
いやあしかし、久々にみずのさんと一ヒツトークで盛り上がり、楽しかった!
あたしが小さい子供じっと見てると、すかさずみずのさんが『いてやさん、あの子脳内でちっさい隊長に変換してるでしょ』って突っ込みも久々でwww
即答で『うんvvv』って答えてるけど。
とにかく時間が足りない一日でした。
とかいいながら。ちょっとでも薄着しようもんなら、帰り寒くて死ねる。
そもそも朝が寒い…。
でも、でも朝厚着して帰り暑かったらとか、昼間浮いちゃうじゃんとか…そーゆーの考えちゃうし。
近所の桜が3分咲き。
もうお花見をしてる人もたくさん。
あたしも今週来週花見に。
大人数は嫌なので、少人数で散歩程度に。
去年は新j宿の中央公園とかにも行ったけど、今年は逆方向で川越とかに行ってみようとおもう。
『幸せの時間』
正午を知らせる鐘が響く。
日番谷はそれが耳に届いているのだろうが、顔を上げようともしないで書類に筆を走らせていた。
『隊長ー。あたしお昼行っちゃいますよー』
『あぁ…』
『じゃあ、お先に!』
『…』
鐘がなると同時に昼食へと立った副官へちらりと一瞥をくれ、またすぐに書類へと視線は戻った。
さすがに空腹を感じてはいるので早く何か腹に入れたいが、今日はどうしても午後の時間を空けておきたかった。
いつもは自分が現世に赴いて逢うことの多い恋人の黒崎一護が、今日はこの尸魂界へ来ている。
理由は良く知らないが、どうやら自分には関係のない事らしいので、深くは追求しなかった。
それよりも一護が近くにいるという幸福感が勝り、普段から日番谷の得意とするポーカーフェイスを保つのだけで精一杯だった。
明日は休みなので、一護と過ごす時間はあるにはあるのだが、普段なかなか逢えない身としては、このチャンスは逃したくない。
出来るなら今日だって仕事を放りだしてしまいたかった。
だが、隊長である自分がそんなことが出来るはずもないし、何よりもまじめな日番谷の性格では仕事を放り出すなんてとんでもないことだった。
幸いにも本日は書類整理のみの業務だったので、集中すれば半日で終わると判断し、いつもより早く出勤して今まで書類と格闘していた。
(あと…少し)
書類もあと数枚となったところで、執務室の扉が勢いよく開いた。
この世界と現世を合わせても、こんな勢いで扉を開け、且つ挨拶もない人物は自分の副官である松本を始め数名しか思い当たらない。
しかも、目の前に現れた人物は霊圧のコントロールがお世辞にも上手とは言えない。
『冬獅郎!迎えに来たぜ!』
『……黒崎…』
『…こら…お前…』
日番谷に名前を呼ばれた途端、少々むっとして足音も荒く日番谷に近づいた一護は、未だいすに座ったままの日番谷を見下ろし、ため息をついた。
『黒崎じゃねーって、一護!一護だろ!』
『…うるせーな…どっちでも…』
『ダメだ!オレは一護って呼ばれてーんだ!』
腕を組んですねたように顔を背ける一護。
いつも合う度に名前で呼べと言われる日番谷。
日番谷としては恥ずかしいので、そんなまねはしたく無いのだが、いつもこの喧嘩に時間を費やしてしまうため、今日は珍しく自分から折れてやる事にした。
『わかったよ…いち…ご…』
『…お』
心では何度『一護』と呼びつつ気高わからないのに、いざ言葉に出すと途端に恥ずかしくなってしまい、赤くなってしまったであろう頬を隠すように日番谷は俯いて、まだ少し残っておる書類に手を付けた。
『あれ?お前まだ仕事ずいぶんあんのか?また出直してこようか?』
『…いや…もうおわるから…』
『そっか…じゃあ、悪いけどそこで待たせてもらうな』
『ああ…茶も出せなくて悪いな』
『いいって。今日はお前の行きつけのメシ屋連れてってくれんだろ?腹一杯食いたいから、もう水一滴も飲まねーよ』
『そうか…』
わらいながらソファにどっかりと座った一護。
にこにこしながら日番谷の姿を見ている。
『あっち向いてろよ…』
『へいへい』
じろじろ見られては集中できない…というよりも、大好きなブラウンの瞳に見つめられては、恥ずかしくて仕事どころではない。
それから数分も経たずに書類は片付いた。
これで今日の業務は終了だ。
明日の休みも含め、丸1日半の休暇だ。
まずは、昼食に行く約束をしている。それからはまだ予定は決めていないが、久しぶりに二人きりで過ごせるので、別に無理して予定をいれずとも良かった。
側にいられるだけでいい。
照れ屋の日番谷には口が裂けてもそんなことは言えなかったが。
昼食は、いつも日番谷が利用している定食屋へと一護を連れて行こうと決めていた。
せっかくだから、多少豪勢なものでも御馳走してやろうかと考えていた日番谷に、一護は『お前がいつも行ってる所に行きたい』と言い出したのだ。
別に断る理由はなかったので、その一護の言葉に従うことになった。
『おい…くろ…一護!終わったぞ』
『お?はえーな!さっすが冬獅郎!』
『当たり前だ。お前と一緒にするな』
『ちぇ…ま、事実だからしゃーねーか!』
『…ったく』
軽く嫌みを言ったつもりだった日番谷だったが、既に一護は日番谷とともに過ごせる時間のことしか頭に無いようで、満面の笑みで日番谷のもとへ駆け寄ってきた。
軽く机上を整え、松本へとメモを残す。
一護は既に入り口でそわそわしながら待っている。
まるで、散歩に連れて行ってもらえる犬の様だと日番谷は内心苦笑する。
『なあ冬獅郎、メシ食ったら何しよっか?』
『…きが早いな、メシ食いながら考えればいいだろう』
『それもそうだな』
『ほら!行くぞ』
『おう』
久しぶりに過ごせる二人の時間。
恋人と呼ぶにはまだまだ幼稚な二人の頭の中は、お互いの事よりももうすぐありつける昼ご飯の方が比重が重いかもしれなかった。
だが、誰よりも大切な人と食べる食事は、きっとどんな豪華なものよりもおいしく感じるに違いない。
春間近の柔らかい日差しが二人を優しく包んでいた。
続く。
そもそも朝が寒い…。
でも、でも朝厚着して帰り暑かったらとか、昼間浮いちゃうじゃんとか…そーゆーの考えちゃうし。
近所の桜が3分咲き。
もうお花見をしてる人もたくさん。
あたしも今週来週花見に。
大人数は嫌なので、少人数で散歩程度に。
去年は新j宿の中央公園とかにも行ったけど、今年は逆方向で川越とかに行ってみようとおもう。
『幸せの時間』
正午を知らせる鐘が響く。
日番谷はそれが耳に届いているのだろうが、顔を上げようともしないで書類に筆を走らせていた。
『隊長ー。あたしお昼行っちゃいますよー』
『あぁ…』
『じゃあ、お先に!』
『…』
鐘がなると同時に昼食へと立った副官へちらりと一瞥をくれ、またすぐに書類へと視線は戻った。
さすがに空腹を感じてはいるので早く何か腹に入れたいが、今日はどうしても午後の時間を空けておきたかった。
いつもは自分が現世に赴いて逢うことの多い恋人の黒崎一護が、今日はこの尸魂界へ来ている。
理由は良く知らないが、どうやら自分には関係のない事らしいので、深くは追求しなかった。
それよりも一護が近くにいるという幸福感が勝り、普段から日番谷の得意とするポーカーフェイスを保つのだけで精一杯だった。
明日は休みなので、一護と過ごす時間はあるにはあるのだが、普段なかなか逢えない身としては、このチャンスは逃したくない。
出来るなら今日だって仕事を放りだしてしまいたかった。
だが、隊長である自分がそんなことが出来るはずもないし、何よりもまじめな日番谷の性格では仕事を放り出すなんてとんでもないことだった。
幸いにも本日は書類整理のみの業務だったので、集中すれば半日で終わると判断し、いつもより早く出勤して今まで書類と格闘していた。
(あと…少し)
書類もあと数枚となったところで、執務室の扉が勢いよく開いた。
この世界と現世を合わせても、こんな勢いで扉を開け、且つ挨拶もない人物は自分の副官である松本を始め数名しか思い当たらない。
しかも、目の前に現れた人物は霊圧のコントロールがお世辞にも上手とは言えない。
『冬獅郎!迎えに来たぜ!』
『……黒崎…』
『…こら…お前…』
日番谷に名前を呼ばれた途端、少々むっとして足音も荒く日番谷に近づいた一護は、未だいすに座ったままの日番谷を見下ろし、ため息をついた。
『黒崎じゃねーって、一護!一護だろ!』
『…うるせーな…どっちでも…』
『ダメだ!オレは一護って呼ばれてーんだ!』
腕を組んですねたように顔を背ける一護。
いつも合う度に名前で呼べと言われる日番谷。
日番谷としては恥ずかしいので、そんなまねはしたく無いのだが、いつもこの喧嘩に時間を費やしてしまうため、今日は珍しく自分から折れてやる事にした。
『わかったよ…いち…ご…』
『…お』
心では何度『一護』と呼びつつ気高わからないのに、いざ言葉に出すと途端に恥ずかしくなってしまい、赤くなってしまったであろう頬を隠すように日番谷は俯いて、まだ少し残っておる書類に手を付けた。
『あれ?お前まだ仕事ずいぶんあんのか?また出直してこようか?』
『…いや…もうおわるから…』
『そっか…じゃあ、悪いけどそこで待たせてもらうな』
『ああ…茶も出せなくて悪いな』
『いいって。今日はお前の行きつけのメシ屋連れてってくれんだろ?腹一杯食いたいから、もう水一滴も飲まねーよ』
『そうか…』
わらいながらソファにどっかりと座った一護。
にこにこしながら日番谷の姿を見ている。
『あっち向いてろよ…』
『へいへい』
じろじろ見られては集中できない…というよりも、大好きなブラウンの瞳に見つめられては、恥ずかしくて仕事どころではない。
それから数分も経たずに書類は片付いた。
これで今日の業務は終了だ。
明日の休みも含め、丸1日半の休暇だ。
まずは、昼食に行く約束をしている。それからはまだ予定は決めていないが、久しぶりに二人きりで過ごせるので、別に無理して予定をいれずとも良かった。
側にいられるだけでいい。
照れ屋の日番谷には口が裂けてもそんなことは言えなかったが。
昼食は、いつも日番谷が利用している定食屋へと一護を連れて行こうと決めていた。
せっかくだから、多少豪勢なものでも御馳走してやろうかと考えていた日番谷に、一護は『お前がいつも行ってる所に行きたい』と言い出したのだ。
別に断る理由はなかったので、その一護の言葉に従うことになった。
『おい…くろ…一護!終わったぞ』
『お?はえーな!さっすが冬獅郎!』
『当たり前だ。お前と一緒にするな』
『ちぇ…ま、事実だからしゃーねーか!』
『…ったく』
軽く嫌みを言ったつもりだった日番谷だったが、既に一護は日番谷とともに過ごせる時間のことしか頭に無いようで、満面の笑みで日番谷のもとへ駆け寄ってきた。
軽く机上を整え、松本へとメモを残す。
一護は既に入り口でそわそわしながら待っている。
まるで、散歩に連れて行ってもらえる犬の様だと日番谷は内心苦笑する。
『なあ冬獅郎、メシ食ったら何しよっか?』
『…きが早いな、メシ食いながら考えればいいだろう』
『それもそうだな』
『ほら!行くぞ』
『おう』
久しぶりに過ごせる二人の時間。
恋人と呼ぶにはまだまだ幼稚な二人の頭の中は、お互いの事よりももうすぐありつける昼ご飯の方が比重が重いかもしれなかった。
だが、誰よりも大切な人と食べる食事は、きっとどんな豪華なものよりもおいしく感じるに違いない。
春間近の柔らかい日差しが二人を優しく包んでいた。
続く。
『ったく…あいつどこに…』
オレは近所の家の屋根から屋根へと飛び移りながら、見慣れた羽織を探す。
早く見つけなければ、万が一他の死神が冬獅郎を見つけてしまったら…。
まあ…それはそれで、氷の像が出来ている訳だから探しやすい。
いやいや…それはまずいだろ…。
全神経を集中して冬獅郎の霊圧を探る。
だが、全くその気配すら感じられないまま、そろそろ体が疲れてきた。
少し休もうかと思い、目の前の小さな林を探したら一息つこうと決め、木々の間を縫うように走る。
ふと、空気の乱れの様なものを感じた。
すぐにその気配は消え、意識を集中してみるもさわさわと葉の揺れる音しか聞こえず、異常はないようだ。
だが、先程の一瞬の空気の乱れがきになったオレは立ち止まったまま周りを見渡した。
まただ。
少し離れたところから感じる、
再び感じたそれは、悲しそうな、不安そうな…怒った様な……。
間違いなく冬獅郎の霊圧。
隠そうとしても、どうしても漏れてしまっているといった感じだった。
オレがこんなに近くにいるのだから、冬獅郎は既にオレの存在には気づいているはずだ。
オレはそんなに器用に霊圧は隠せない。
だが、そんなオレの霊圧を感じても動かないという事は、オレに見つけてほしいのか…。
オレは静かに冬獅郎が少しづつ漏らす霊圧をたどり、近づいて行った。
ひときわ大きな樹のしたに冬獅郎はいた。
座り込んで膝を抱えている。
普段は滅多に見せないそんな姿に、オレは少し胸が痛んだ。
冬獅郎が何に対してあんなに怒ったのか。
それがわからない自分に対して憤りを感じる。
『冬獅郎…?』
『…』
名前を呼んで一歩近づく。
冬獅郎は逃げない。
少しの沈黙のあと、冬獅郎がゆっくりと顔をあげた。
『何しに来たんだよ…』
『…ごめん…』
『…なんで謝るんだ…』
『なんか…お前怒らせちまったし…ごめ…』
『理由もわかんねーで謝んのかよ…』
『…』
冬獅郎は怒っているというより、悲しんでいるように見えた。
いや…正確には悲しんでいるとかではなく…すねている。
『早く帰れよ』
『冬獅郎…』
『心配すんな…オレも諦めた』
『え?』
『ちょっと尸魂界にいってさっさとあんなくだらねえ企画終わらせてくる…』
『…ん』
『……』
さっさと終わらせると言ったわりには、全くそこから動こうとしない冬獅郎。
立ち上がろうともしない。
『冬獅郎?おれも一緒に行くから』
『…てめーは…それでいいのか…』
『…?』
『そうだよな、こんなくだらないことでぐだぐだしてるなんてばかばかしいよな。オレがバカなんだよ。てめーのとこに来たのが間違いだった』
『と…冬獅郎?』
突然立ち上がって大声でそういうと、冬獅郎はオレの横をすり抜ける。
振り返ったオレは冬獅郎の腕を掴み、引き寄せようとした。
だが、その腕は振り払われてしまい、背中を向けたままの冬獅郎はぼそりと小さな声でつぶやいた。
『お前はそれで平気なのかよ…』
『…?』
『オレは…!…オレは一護が…っ』
そこまで言った冬獅郎の肩が少し震えているのにオレは気づいた。
ここまで来てやっと気づいた。
冬獅郎がなぜ怒ったのか、あんなにおひな様をやるのをいやがったのか。
オレは自分の鈍感さにあきれ果て、頭をかきむしった。
『冬獅郎…!』
名前を呼び、もう一ど腕を掴んで引き寄せる。
今度は振り払われないように無きほどの何倍も力を込め、そのまま勢いで背中から抱きしめた。
『ごめん…オレ…』
『うるせー…』
『冬獅郎…』
『…いちご…』
もしオレが冬獅郎の立場だったら。
たとえ、お祭りだなんだと言っても着たくもないものを着て、好きでもないヤツの隣に座らされて。
それも代わる代わる。
しかも相手は下心見え見えの奴らばかりだ。
そして、助けを求めた恋人に『サッサと行って終わらせてこい』なんて言われたら…。
『冬獅郎…オレ…オレ…わりいんだけど、すげー嬉しい…』
『ばか…』
『冬獅郎がそこまでオレの事を考えてくれてたなんて…』
『うぬぼれんな』
『ひどい事言ってごめんな?』
『謝ったからってゆるさねー…』
冬獅郎は口では悪態ばかりついているが、その小さな手はオレの着物をしっかり掴んで離さない。
たまらなくなったオレは冬獅郎の体の向きを変え、小さな体の全てを包み込むように抱きしめた。
『てめ…いちごは…』
『ん』
『オレがあんなおもちゃにされてへーきなのかよ…』
『ごめん…ヘーキじゃねーや』
『……』
『きっと…オレ、お内裏様やろうとしてる奴らボコボコにしちまう』
『…死神殺す気かよ』
『…半殺し…くらいは?』
『まあ…それなら許す』
冬獅郎の頭を抱えていた腕の力を緩め、愛しい恋人の顔を覗き込んでみると、先程までの悲しそうなすねた顔ではなく、少し甘えたようないたずらっ子の様な表情をしていた。
しばらくそうして抱き合っていたが、ふと乱菊さんの事を思い出したオレは、こわごわながらも冬獅郎に訪ねてみた。
『で、お前どーすんだ?こっちずっといるか?』
『…ん…行きたくねーけど…オレ一人のせいで、祭り台無しにしちまうのも…』
律儀な冬獅郎らしいというか、オレが冬獅郎の気持ちに気づいた事で少し心に余裕ができたのか、他の死神の心配をし始めた。
『じゃあ、オレがやっぱり一緒に行くよ。冬獅郎のボディガードにさ』
『なんだよ…そんなんいらねーって』
『ま、オレなんかいなくても、冬獅郎の手を出そうもんなら、すぐに凍らされて全身しもやけだろーけどな』
『当たり前だ』
『でも、オレに来てほしいだろ?』
『……』
そういって冬獅郎の頬を両手で包み、何か言いたげに揺れる瞳を覗き込む。
すぐに冬獅郎の顔は真っ赤になり、慌ててオレの手を除けようとする。
おれはそれを許さずに、もう一度抱き寄せて素早く唇を合わせた。
すぐに冬獅郎の体を離し、後ろに飛び退るオレ。
一瞬でも避けるのが遅かったら、オレが全身しもやけ第一号になるところだった。
苦笑しながら冬獅郎を見ると、くるりとオレに背を向けて足早に歩きだした。
ため息をついて立ちつくすオレに少し照れた様な怒声がぶつけられる。
『黒崎!早く行くぞ!さっさと終わらせるぞ!時間がもったいない!』
『ほいほい!』
軽く返事をしながら、冬獅郎の後を追う。
時間がもったいないとは、雛祭りを早く終わらせてオレとの時間をたくさん作りたいということだろうか…ととんでもなく前向きに考えたオレは、冬獅郎に追いつこうと歩く速度を速めた。
雛祭りてずいぶん前だなあ…w
もう17日だっつーのに…。
ホワイトデーも過ぎ去ったというのに…w