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夏コミまであがいて今からコピー本を出す。
諦めて大阪合わせでコピー本を出す。
それよりも次の本のネームをきりはじめたら、漫画だけで50ページ超えそうで、スパークに間に合うかわからないが、とにかく枠線とか引いてみる。
でもやっぱり無理そうなので、夏コミまであがいて…エンドレス。

あなたならどれ?(泣)





『続き』

夏祭りの会場に着いた二人。
一護は、あたりを見回し、予想以上の人出に驚いていた。
冬獅郎も多くの人が行き交う広場で、浴衣のせいもあるだろうが、既に疲れてしまっているようだ。

『冬獅郎!と、とりあえず何か食おうか?それとも金魚すくいとか、輪投げとかやるか?…あ、くじ引きもあるぞ?』
『…いーよ…』
『そんなこと言うなって…じゃあ…とりあえず輪投げ!輪投げしようぜ!』
『…え…お、おい!引っ張るなよ!』

冬獅郎の手を取った一護は、屋台の一番端に設置されている、割と規模の大きな輪投げのコーナーがある。

『よーし、冬獅郎!まずはお前やるか?』
『いいって…』
『えー…せっかくだぜ?』

一護ががっかりしたような声を出す。
その声に冬獅郎は出がけに言われた松本の言葉をふと思い出した。

(一護に嫌われる…一護が…離れて…く…?)

不安が胸に広がる。

『…やるよ…やればいーんだろ…』
『お、おう…。よし!冬獅郎、何かいいもんとれよ!』
『兄ちゃん達、一回でいいのかい?500円で3回出来るよ?お得だぜ?』

胡散臭そうな中年の男が、輪投げ一回200円なのを3回の方が得だと勧めてくる。

『どーする?冬獅郎、3回やるか?』
『いーよ…一回で十分だ…』
『だってさ!おっさん、じゃあ200円な』
『まいど…はい一回分ね』

男はそう言って冬獅郎に輪っかを3本寄越した。

『お嬢ちゃん頑張りなよ?きみにはあの人形とかがいいかな?』
『…お…じょう…ちゃん…?』
『あー…ほらほら!早く投げようぜ!』

男の言葉に、眉間にしわを寄せ、何か言いかえそうとした冬獅郎を、一護がなだめる。
せっかくのお祭りに来て早々のトラブルはごめんだった。

だが、すっかり機嫌の悪くなった冬獅郎は、輪っかを無造作に投げ、結局何も景品を貰う事が出来なかった。
はずれのおまけという事で、あめ玉を2つ貰っただけに終わってしまった。

『残念だったな』
『別に…あんなもんいらねーし』
『そか…じゃ、次どこいこっか』
『喉乾いた』

涼しくなったといってもまだまだ暑い気温。
喉が乾いたという冬獅郎の意見に従い、飲み物を変えるところを探す。
どの屋台にもそれなりに飲み物は売っていたが、一護は久しぶりにラムネが飲みたくなり、それを売っているところを探した。
しばらく歩くと、大きな容器にたくさんの氷を浮かべ、その中でラムネが何十本と冷やされていた。

『冬獅郎、コレ飲もうぜ?炭酸だけど、あんまきつくねーから、お前でも飲めんだろ』
『…ん…』

炭酸が苦手な冬獅郎。
だが、コレなら飲めるかもと思い、一護はよく冷えたラムネを2本買った。

『今開けるから、まってろ』
『ん?…あぁ』

何やらぼうっとしている冬獅郎の手に、開けたばかりでまだ勢い良く炭酸が吹き出している瓶を渡す。

『うわ…つめた…』
『うめー!やっぱ夏はコレだろ!』
『…ん…まぁまぁだな…』

飲んでみて、結構…いや、かなり好みの味だったのだが、やはり素直には言えない冬獅郎。
炭酸が飲めたことも嬉しいのに、嬉しそうな顔が出来ない。

そんな姿に苦笑しながらも、瓶を持ったまま再び散策し始めた二人。
可愛らしい恋人に視線が集まるのを誇らしげに思いつつ、さりげなく背中を支える様に手を添えた一護。
だがあっさりその手は払われ、じろりと睨まれる。

途中、金魚すくいを覗いたり、練り歩く神輿を見物したりしながら、半分程回ったところで冬獅郎の腹が鳴った。

『そろそろ何か食おうぜ!オレも腹減ったし…。お前名に食いたい?』
『何でもいい。てめえが好きなもんにすればいいだろ…』
『つまんねーこというなよ…』
『……あ…』
『ん?どした?何か欲しいもんあんのか?』

つまんないこと、と一護に言われ、またしても不安がよぎった冬獅郎は、思わず声をだしてしまった。
それを、食べたいものでも浮かんだのだろうかと、一護が冬獅郎の顔を覗き込む。

『いや…なんでもない…』
『そっか』

まだ、何か聞きたげな一護だったが、すぐにあきらめた様に視線を外し、冬獅郎を連れて、食べ物の屋台を数件回る。
歩きづらそうな冬獅郎をどこかに待たせても良かったのだが、先程からの冬獅郎に集まる視線を考えるとそれははばかられた。
少しでも声をかけられたり、万が一冬獅郎の体に触れられるようなことがあっては、半殺しにはしない自信はない。

一護の両手が食べ物で意大愛になったところで、座って食事が出来るところを探す。
なかなか頑張っている町内会のようで、きちんとした休憩スペースもあった。
簡易テントと長机、それにパイプ椅子が並べられただけの簡素なものだったが、野外の祭りでは十分だ。
テントの中は非常に混雑していたが、運良くカップルが席を立ち、開いたその場所に滑り込む事が出来た。

『食おうか、あ…甘いもんはあとな?冬獅郎綿アメとか食いたいだろ?でもすぐ溶けちまうからさ』
『ん…』

一護の心遣いに、適当に返事をした冬獅郎の心は、既に目の前の美味しそうな食べ物達。
そしてコレも一護の気遣いだろうが、冬獅郎の好きなものばかりが並んでいる。
お祭りで変える食べ物なんてそうそう種類はないし、冬獅郎の苦手なものも少ないが、例えばたこ焼きやお好み焼きには冬獅郎の嫌いな鰹節(歯にくっつくから)や、フランクフルトには一護が好きなはずのからしがついていないとか。

そんな小さな気遣いを今まではありがたいとも思わなかったが、今日は変な格好をさせられているせいか、とても気になった。
二人は向かい合わせに座っていたのだが、その状態では、取り皿の無いここでそれぞれが一つのものを食べてから、交換しなくてはならず、面倒だった。

『冬獅郎!コレうまいぞ?ほら…あっと…あぶね…おっことすとこだった…それ、こんどオレ食うよ…こっちくれ』
『ん…』

机上の食べ物が行き交う間、何度もこぼしそうになる。
結構幅の広い長机が原因だ。

『……』

なんだかもうめんどくさくなって来て、冬獅郎は一旦箸を置く。

『…ん?もう食わねーの?』
『いや…食うけど…』

食べたいが、なんだかせわしない。
そのとき、一護の隣に並んで座っていた親子が立ち上がった。
斜め向かいに座っていた冬獅郎からは、その親子がよく見えていて、ずっと視界に入っていたのだが、その親子が並んで座っていたこともあり、二人仲良く焼きそばを同じ容器から一緒に食べているのが気になっていた。
真横に座っている一護からは見えないようだったが。

しばらく黙りこくって考え込む冬獅郎。
それを不思議そうに見る一護。

ふいに冬獅郎が立ち上がった。

『どうした?冬獅郎…』
『…そっち……いっても…いいか…?』
『そっち…そっちって』
『…』

無言で一護の真横の席を指差す冬獅郎。
その一護の隣の席に移動しようかどうかでさんざん迷っていたのだが、テントの外から席を伺う人が見え、うかうかしていては一護の隣はすぐに埋まってしまうだろう。

意を決し、席を立った冬獅郎は一護の横を指差し、問うたのだ。
その顔は頬がピンクにそまっていて、化粧が相乗効果になり、とても愛くるしい。

『あぁ!もちろんじゃん!ほら冬獅郎!こっち来いよ?その方が食いやすいしな』
『…』

一護の隣に移動し、体が密着しそうなほど椅子を近づけて座る。
座ったものの、黙ったまま俯いている冬獅郎の前に一護は食べかけのものを並べ直していた。
やはり思った通り、一護との距離がぐんと近づいて、二人で食べやすいようにセッティングが出来た。

『けっこうさ、屋台にしては食いもんうまいよな?』
『…そう…だな』

『そうか?』と言おうとして、またしても自分の発言がかわいくない事に気付き、慌てて肯定した冬獅郎。
それに気付いてか、気付かないままかは分からなかったが、素直に冬獅郎の言葉に微笑んだ一護は気に入った様子のお好み焼きの容器を持ったまま、冬獅郎に勧めてくる。
数秒じっとまったが、一護がそのお好み焼きを机においてくれる気配はない。
要するに、このまま食べろという事らしい。

そんな恋人みたいな真似できるか…と思いつつ、事実恋人のようなものなのだから、コレは自然なことなのかも…と自分に言い聞かせ、冬獅郎は一護の手に乗せられたままのようきに箸を伸ばした。
箸で小さく切り分けようと思ったが、なかなかうまくいかず、悪戦苦闘していると、一護が笑いながら、容器を冬獅郎の口元へ近づけて来た。

『……』
『持っててやるから』

そう言って笑いかけてくる一護に、ちらりと視線を走らせ、観念した様にお好み焼きにかじりついた。

『うめーよな?』
『…ん…これさっきも食ったけど…』
『ちがくて…こうやってくっついて食うと美味いってことだよ』
『……』

お好み焼きを口の中に入れたまま一瞬固まる冬獅郎。
自分のしようとしている事は一護には全てお見通しだった事に気付き、途端に恥ずかしくなった。

だが、先程から停止しかけている思考回路は、一護の笑顔を見てしまうと完全にストップしてしまい、一向に動き出してはくれず、いつものような悪態が出てこない。

(…こんなかっこしてるからだ…)

軽く松本に恨みを抱きつつ、照れ隠しに一護の前に置いてあるたこ焼きに手をのばした。
その瞬間、一護の左手が優しく冬獅郎の肩に添えられ、冬獅郎は一護の方へと引き寄せられた。

『…あ…』

驚いて一護を見上げると、一護の視線は冬獅郎の後ろ、先程の親子の子が座っていた椅子にむけられていて、その椅子には老人が腰掛けようとしている所だった。
一護は老人が座るのに、冬獅郎の背中の帯が邪魔にならないようにと、さりげなく冬獅郎を引き寄せたのだ。

『……もっとこっち来れるか?冬獅郎』
『…ぅん…』

ふわりと頭上から落ちてくる一護の匂いに、鼓動が速くなるのを感じながら、冬獅郎は努めて冷静に振る舞う。
壁に隣接している一護の席は、これ以上つめる事は出来ない。
老人が快適に席を利用するには、冬獅郎が一護にもっと、それこそ密着しなければならない。
既に半分抱き寄せられている格好の冬獅郎、それにくわえ大好きな一護の匂いに頬は真っ赤に染まり、箸はいつの間にか落としてしまっていた。

『…あ…はし…』

動揺を悟られまいと、誤魔化すように箸を拾うことを口実に、一護から離れようとするが、あちこちの屋台で食べ物を買ったので、余分な箸はたくさんあった。

『ほら、新しいの。それ後で纏めてすてるからよ』
『…あ…ぅん』
『あ!そろそろくっちまわねーと、花火いい場所で見れなくなっちまう!』
『…そうなのか?』

実は冬獅郎は、花火を内心とても楽しみにしていた。
昔から好きなのだ。
誰にもいった事は無かったが。

心が少し花火に向いた事で、やや落ち着きを取り戻した冬獅郎は、一護に促される様にして、残りの食べ物を食べ始めた。

その姿を、隣の老人がとても優しい目で見ていた事に二人は気付く事はなかった。






つづくんだ!





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