さむい！

なんだか実家のほうでは吹雪いていたという話ですが。今日はこちらも寒かったー。

夕方友達から。『東京風すごかったみたいだけど大丈夫？あんた吹っ飛ばされてない？』というメールが来ましたが、一日ビルのナカできづきませんでした。
しかも、あたしはふっとんだりしないよーw

2009年の目標はダイエットにしようっと。


＜おまえがいちばんだぞ＞

『なーいちろー、さむいか？まふらーまいてやるぞ』
『あったけーだろ？ふわふわだ』
『いちろーリボンがまがってるぞ。おれがなおしてやる』

冬獅郎はすっかりお気に入りとなった『いちろー』と仲良く遊んでいる。
まぁ、全部冬獅郎の独り言だが。
『いちろー』は冬獅郎の誕生日に遊子と夏梨と親父がプレゼントしたウサギのぬいぐるみだ。
冬獅郎は自分よりも大きなそのぬいぐるみがとんでもなくお気に入りで、一日中離さない。
今日も朝からずっといちろーと遊んでいる。
オレは放置だ。

今まではあんなに『いちご！いちご！』とうるさい位纏わりついてきてたのに、なんだかさびしい。
オレは自分のベッドで読みかけの漫画をぱらぱらとめくりながら、冬獅郎の楽しそうな様子をちらちら盗み見していた。
くそう…オレの冬獅郎が安和ぬいぐるみに奪われる日がくるなんて…。
我ながら情けないと思いつつ、恨めしそうな目でぬいぐるみを睨みつけてしまう。

どうやら、今度はいちろーに絵本を読んでやるらしい。
本棚から冬獅郎が絵本を数冊選んでいる。

『冬獅郎、今日のお昼はドーナツ食いにいこっか』
『ん…んーん、いちろーがいるからいい。いちごがかってこいよ』

試しに外に誘ってみたが、あっさり断られた。
しかもオレが買ってやったマフラーと帽子は、今はいちろーの首に巻かれ、片耳に乗っている。
がっくし。

外であのマフラーと帽子をつけた冬獅郎と思い切り遊びたかったのに。
オレは盛大にため息をついて、うなだれた。

『……』

絵本を持っていちろーのもとに戻ろうとしていた冬獅郎が、オレの様子に気づき、じっとこちらを見ているのがわかった。
だが、どうせ、おれよりいちろーだろ…と、昼寝でもしようかと思い、漫画を閉じてベッドの隅に放り投げる。

すると、その様子を見ていた冬獅郎が、とてとてとこちらへやって来た。
そして、オレのベッドによじ上り、オレの非差にちょこんと座った。
小さな手でオレの服を掴み、じっとオレの顔をみあげてくる。

『いちご』
『ん？どした？冬獅郎』

うう…かわいい。
思わず抱きしめようと思ったとき、冬獅郎が口を開いた。

『いちご、おれがいちばんすきなのは、いちごだからな。あんしんしろよ』

そういって、にこりと笑った。
天使だ。

『冬獅郎…』

感激のあまり、抱きしめて頬ずりしようとしたその時。

『あ、いちろーがさびしいっていってるから、またあとでな』
『え…ちょ…』

するりとオレの腕から抜け出た冬獅郎は、床に置いていた絵本を拾うと、自分のベッドにすわらせているいちろーのもとに戻ってしまった。

そして、絵本を広げ、『ピーターパン』の朗読を始めた。

もうふて寝しかない。

オレは勢いよく枕に突っ伏し、目を閉じた。
冬獅郎のかわいらしい声を聞きながら、いつしか眠りに落ちていた。

オレは夢で、あのウサギのぬいぐるみが話出し、歩いて冬獅郎と外であそんでいるという、なんとも気分の良くない光景を見て、目が覚めた。
ふと気がつくと、左腕が暖かい。
腕に視線をやると、オレの腕にしがみついてすやすや眠る子供。
冬獅郎のベッド見ると、絵本が散らばっていて、その真ん中にいちろーが先程と同じ状態で座っている。
絵本を読んでいて眠くなったのだろうか。

とんでもなくかわいいネガををぼーrっと見ていたが、オレも布団をかけずに寝ていて少し体が冷えている。
冬獅郎も寒いのか、まん丸くなって眠っている。
オレは冬獅郎を起こさないようにそっと左腕からはがし、抱き寄せる。
そして、改めて布団をかけ、2度目の昼寝に　突入した。
今度はとてもいい夢が見れそうだった。