ブログ
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
渋谷では、あるイベント会場でたまに雪が降っていて、なかなかおもしろかったです。
でも明日からは一気に正月になるんですね。
ってそのまえに冬だろう。
ちとドタバタして、コピー本を作るはずが全く着手出来ず、新刊は二冊です。
いちひつと、いちひつ&くさひつ。
<クリスマス>
静かな静かな夜。
小さなベッドには大きなぬいぐるみを抱きしめて眠る冬獅郎。
その枕元には可愛らしい靴下。
白地に青いくじらのイラスト。
冬獅郎の一番のお気に入りの靴下だ。
全く、数日前に誕生日があったばかりなのに今度はクリスマス。
やれやれ、うらやましい限りだ。
今夜のクリスマスパーティではおなかを壊すのではないかと思うほどケーキを詰め込んでた。
夜中に起きられてはかなわないので、飲料は出来るだけ与えないようにするのが大変だった。
冬獅郎が幼稚園で書いたサンタさんへの手紙には『ケーキがほしい』と一言。
それはもう叶ってしまった。
オレは別に用意していたプレゼントを冬獅郎の小さな靴下に詰めようとそっと手を伸ばした時。
『ん…ぅー…』
冬獅郎が寝返りをうった。
目を覚ますのではとその場に固まるオレ。
冬獅郎は先日誕生日に家族から貰った『いちろー』(ウサギの巨大なぬいぐるみ)がとんでもなく気に入ったようで、オレの相手をなかなかしてくれなくなった。
そのいちろーをしっかり抱きしめて寝返りをうった為、いちろーは哀れ冬獅郎の下敷きに。
そんな姿が可愛くて、思わず吹き出す。
しかし、早くプレゼントを靴下に入れねば……と、靴下を手に取ろうとすると、その上には冬獅郎の手が乗っていた。
困った事に靴下を握りしめてしまっている。
下手に引っ張れば起きてしまうかもしれない。
新しい靴下を出そうかなどとさんざん悩んでいたオレだったが、がたがた物音を立てれば更に冬獅郎が起きてしまうかもしれない。
冷静に考えればこの子が多少の物音で起きるはずもないのだが、こういうときは必要以上に慎重になってしまう。
いっそサンタのコスプレでもして、起こしてしまえば良かったのかも知れないが、起きなかったらオレが惨めだ。
ぐだぐだ考えていてもしょうがない。
オレはそっと愛しくて仕方ない弟の枕元に小さな箱を置いた。
中身はキーホルダー。
先日ゲーセンの前で冬獅郎がじっと欲しそうに見ていたものだ。
食べ物や飲み物はすぐあれこれほしがるくせに、おもちゃなんかは欲しくても我慢しているらしく、絶対に『欲しい』とは言わない冬獅郎が、珍しく立ち止まってみていたから、オレはどうしてもそれをあげたくなったのだ。
幼稚園の鞄につけて歩く姿を想像しながら、このキーホルダーを手に入れる為に…どれだけ100円を投入したことか……。
ようやく取れたそのキーホルダーを遊子の助言で、可愛らしくラッピングした。
どうせビリビリに破かれるだけだから…とオレは言ったのだが、遊子から言わせれば、プレゼントを貰った時、ラッピングを開けているときが一番わくわくするし、せっかくなのだから…と。
残念ながらくつしたに入れてやる事は出来なかったが、まぁいいだろう。
無事サンタの役目を終えたオレは、自分のベッドに潜り込んだ。
間冷ましをいつもより1時間早くしておく。
冬獅郎がプレゼントを見つける瞬間を逃す訳にはいかない。
別な意味でわくわくしながらオレはようやく眠りについた。
朝起きた冬獅郎は、自分の下敷きになっているいちろーの更に下にある靴下になぜか埋もれてしまっていた箱を見つけるまで、だいぶかかっていた。
せっかくのラッピングは、開ける前から中身が見えるところまで破壊され、見るも無惨な状態だったが、中身を確認した冬獅郎の顔はとても嬉しそうで、オレはとても満足だった。
早速幼稚園のバッグにつけてやろうかと思った時、冬獅郎の口からでたのは
『いちろーのくびのリボンにつけて』
だった。
ま…いっか。
PR
この記事にコメントする