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風邪ひいたー…
なんでこんないっつも桜が咲く頃にとんでもねえ風邪ひくんだろう……。
あたしの風邪はいつもフルコースなので、喉が痛くなったら一週間ぶんの覚悟しますwww
でもこの時期は花粉とかぶるので、気づくのが遅いんだ…;;



冬獅郎を連れて買い物に行った帰り、いつもこの元気な子供を遊ばせるために来る公園を脇を通るのだが、今日はなんだかいつもと違う感じがして、ふと足を止めた。

『どしたのいちご?』
『ん…いや…な、冬獅郎、公園よってかねーか?』

オレのほうから公園に誘うことはほとんどないため、一瞬きょとんとした冬獅郎だったが、すぐに嬉しそうな顔になり、オレの服の裾を引っ張って公園に向かって走り出した。
冬獅郎はまっすぐに大好きなブランコへまっすぐ向かい、薄いプラスチック製の板に座ると、オレを振り返って、背中を押せと催促してくる。

小さな背中をゆっくりと押してやりながら、オレは周りを見渡した。
長かった冬が終わり、少しずつ春の感覚がこの公園にも満ちていた。

(いつもと違う感じはこれか…)

ブランコの後ろにある大きな桜の木。
2〜3日前にテレビで桜の開花宣言を観た気がする。

(もう咲きそうじゃん)

郊外にあるこの町は都内からは少し遅れているが、もう間もなく咲きそうだ。
小さなつぼみから、ピンクの花びらが覗いている。

『冬獅郎、今度お花見しような?』
『おはなみ?うん!』
『ほら、もうすぐこの桜も咲くぞ?』
『え?どれ?』

冬獅郎は、ブランコに乗ったまま首を後ろに向けて、桜の木をみようとしたが、小さい冬獅郎からは見えない。
ブランコをとめて、オレは冬獅郎を抱き上げて、桜の木の下へいった。

『ほら、みえるか?ちょっとだけピンクになってるだろう?』
『あ!ほんとだ!これ明日さくの?』
『どうかな…?明日は無理かもしれないな』
『いつさくんだ?』
『きっと来週の休みにはこの気が満開だぞ?』
『まんかい?』
『このつぼみがぜーんぶ咲くんだよ』
『ぜんぶ…』

冬獅郎はこの茶色いつぼみが全部咲くというのが、どうやら想像が出来ないらしく、つぼみをじっと見たまま難しい顔をしている。

『また咲き始めたら見に来よう?今日はもう冷えてきたし、帰って部屋であそぼうな』
『えー…まだブランコ!』
『また明日な?』
『やだ……くしゅっ…』
『ほらほら、風邪ひいちまう』*

公園によるつもりは無かったので、あまり厚着はさせていなかったから、冷えてしまったようだ。
可愛らしいくしゃみをして、鼻をこすっている。

オレは、まだ少しブランコに未練がありげな視線を送っている冬獅郎を抱えたまま、公園を後にした。

来週は弁当とお菓子もってお花見に来よう。
大きな花見の名所もいいが、小さな公園で静かには波をするのも悪くない。
それに小さい冬獅郎が迷子になっては困るから、あまり広い花見会場では大変そうだ。
やはり、この公園に来よう。
それとも少し足を伸ばして、もう少し桜の多い公園にしようか…。
でもこいつにとっては、桜の花より団子ってとこだからな…

可愛く鳴った冬獅郎のおなかの音を聞きながらオレは苦笑した。

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