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『いちご!こっちこっち!』
『へいへい』
午前中から公園で駆け回るというのはなんとも健康的でよろしい。
だが、先日の野球で体がばきばきのオレにはすこし辛い。
そんなオレにはおかまいなく、次から次へとあっちに行くだの、こっちの滑り台がいいだのと、冬獅郎はかけずり回る。
一人で遊んでくれればいいのだが、こいつはオレが側にいないとだめなのだ。
懐かれてるのは嬉しいが、困難で将来大丈夫だろうかと少し不安になる。
オレの前ではとんでもなく偉そうでわがままでやりたい放題なのに、他人の前ではまるで借りて来たネコ。
人見知りも甚だしい。
しばらく公園で遊んでいると、今まで同じように遊んでいた子供達と親がそれぞれ連れ立って公園を出て行く。
噴水の側にある大きな土気を見ると間もなく正午になろうとしていた。
思いのほか遊んでいたらしい。
『冬獅郎!そろそろ帰るぞ!』
『やだ』
『…てめぇ…』
『もういっかいー!』
『…』
捕まえようとしたオレの手をすり抜け、冬獅郎は滑り台にむかって走る。
全く…。
滑り台のてっぺんから滑り降りてくる冬獅郎を、途中ですくいあげるようにして捕まえた。
『なんだよー!』
「もう昼ご飯の時間だろ?帰るぞ』
『もういっかいー!すべりだいー』
『オレ腹減ったぞ?お前は腹がへってないのか?』
冬獅郎を抱えたまま歩き出すが、暴れる冬獅郎の手や足が体にあたって痛いったらありゃしない。
全く乱暴な子だ。
『まだ!まだ遊ぶ!』
もはや悲鳴に近い声で冬獅郎が叫ぶが、オレはそれを聞こえないふりをして公園から出た。
その時腕の中の子供のおなかがくるくるとかわいい音を鳴らした。
『ほうら、お前だって腹ぺこじゃんか』
『あ…おれはらへった…?』
冬獅郎は一つの事に夢中になると集中しすぎて他の事を忘れてしまう癖がある。
幼稚園では一人で遊ぶのに夢中になって、お弁当の時間になっても先生の言う事を聞かなかったこともあるらしい。
そんな事を思い出していたら、今度は急に冬獅郎が『はやくかえってごはん!』と騒ぎだした。
どうやら、昼飯はたのしみにしていたピラフなのをおもいだしたらしい。
今度は別な意味で暴れ出した冬獅郎を腕から降ろし、道路に飛び出さないようにしっかり手を握って家に帰る道を歩き出した。
家に帰る間中『ぴらふーぴらふー』とあほみたいに繰り返している冬獅郎の顔はわくわくとどきどきでいっぱいで、とんでもなくかわいらしかった。
繋いだ手がたまにきゅっと力を入れて握り返してくる様も愛らしい。
さて、コレから昼飯を作らねばならない訳で、オレにとってはかなりも難問だ。
簡単だと妹は言ってくれたが、やってみない事にはわからない。
かわいい弟の為にも、絶対に失敗したくない。
こいつの泣き顔なんて見るのはケンカの時だけで十分だ。
まあ、泣き顔もそうとう可愛いんだが。
家に付いたオレ達は手荒いうがいを住ませ、汚れた冬獅郎の服は洗濯機に放り込み、オレは普段滅多にしないエプロンなんかを着けてみた。
『オレもエプロン!』とねだる冬獅郎だが、小さいエプロンなんて見当たらないし、あったとしてもどこにあるかなんてわからない。
冬獅郎が食事の時に使いヨダレかけなら見つけたが、そんなんつけたら怒ってしまうだろう。
悩んだ末、手ぬぐいを出して来て、細っこい腰にくるりと巻いて後ろは適当に結んでエプロンらしくしてやった。
それでも冬獅郎はわりと気に入ったようで、使う予定のないおたまをもって走っている。
とても滑稽だ。
そうしているうちに12時半を回ってしまった。
早く炊かないとおやつの時間になってしまう。
腕まくりをしたオレはまずは妹の残したメモと材料のにらめっこから始めたのだった。
つづくんだ
『へいへい』
午前中から公園で駆け回るというのはなんとも健康的でよろしい。
だが、先日の野球で体がばきばきのオレにはすこし辛い。
そんなオレにはおかまいなく、次から次へとあっちに行くだの、こっちの滑り台がいいだのと、冬獅郎はかけずり回る。
一人で遊んでくれればいいのだが、こいつはオレが側にいないとだめなのだ。
懐かれてるのは嬉しいが、困難で将来大丈夫だろうかと少し不安になる。
オレの前ではとんでもなく偉そうでわがままでやりたい放題なのに、他人の前ではまるで借りて来たネコ。
人見知りも甚だしい。
しばらく公園で遊んでいると、今まで同じように遊んでいた子供達と親がそれぞれ連れ立って公園を出て行く。
噴水の側にある大きな土気を見ると間もなく正午になろうとしていた。
思いのほか遊んでいたらしい。
『冬獅郎!そろそろ帰るぞ!』
『やだ』
『…てめぇ…』
『もういっかいー!』
『…』
捕まえようとしたオレの手をすり抜け、冬獅郎は滑り台にむかって走る。
全く…。
滑り台のてっぺんから滑り降りてくる冬獅郎を、途中ですくいあげるようにして捕まえた。
『なんだよー!』
「もう昼ご飯の時間だろ?帰るぞ』
『もういっかいー!すべりだいー』
『オレ腹減ったぞ?お前は腹がへってないのか?』
冬獅郎を抱えたまま歩き出すが、暴れる冬獅郎の手や足が体にあたって痛いったらありゃしない。
全く乱暴な子だ。
『まだ!まだ遊ぶ!』
もはや悲鳴に近い声で冬獅郎が叫ぶが、オレはそれを聞こえないふりをして公園から出た。
その時腕の中の子供のおなかがくるくるとかわいい音を鳴らした。
『ほうら、お前だって腹ぺこじゃんか』
『あ…おれはらへった…?』
冬獅郎は一つの事に夢中になると集中しすぎて他の事を忘れてしまう癖がある。
幼稚園では一人で遊ぶのに夢中になって、お弁当の時間になっても先生の言う事を聞かなかったこともあるらしい。
そんな事を思い出していたら、今度は急に冬獅郎が『はやくかえってごはん!』と騒ぎだした。
どうやら、昼飯はたのしみにしていたピラフなのをおもいだしたらしい。
今度は別な意味で暴れ出した冬獅郎を腕から降ろし、道路に飛び出さないようにしっかり手を握って家に帰る道を歩き出した。
家に帰る間中『ぴらふーぴらふー』とあほみたいに繰り返している冬獅郎の顔はわくわくとどきどきでいっぱいで、とんでもなくかわいらしかった。
繋いだ手がたまにきゅっと力を入れて握り返してくる様も愛らしい。
さて、コレから昼飯を作らねばならない訳で、オレにとってはかなりも難問だ。
簡単だと妹は言ってくれたが、やってみない事にはわからない。
かわいい弟の為にも、絶対に失敗したくない。
こいつの泣き顔なんて見るのはケンカの時だけで十分だ。
まあ、泣き顔もそうとう可愛いんだが。
家に付いたオレ達は手荒いうがいを住ませ、汚れた冬獅郎の服は洗濯機に放り込み、オレは普段滅多にしないエプロンなんかを着けてみた。
『オレもエプロン!』とねだる冬獅郎だが、小さいエプロンなんて見当たらないし、あったとしてもどこにあるかなんてわからない。
冬獅郎が食事の時に使いヨダレかけなら見つけたが、そんなんつけたら怒ってしまうだろう。
悩んだ末、手ぬぐいを出して来て、細っこい腰にくるりと巻いて後ろは適当に結んでエプロンらしくしてやった。
それでも冬獅郎はわりと気に入ったようで、使う予定のないおたまをもって走っている。
とても滑稽だ。
そうしているうちに12時半を回ってしまった。
早く炊かないとおやつの時間になってしまう。
腕まくりをしたオレはまずは妹の残したメモと材料のにらめっこから始めたのだった。
つづくんだ
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