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『お年玉2』

ごそごそと巾着袋を漁っていた冬獅郎は、すぐに中から封筒を取り出した。
そしてオレに向かってそれを差し出した。

「やる」
「へ?」
「やるって言ってんだ!正月は年上が年下にお年玉をやるのがふつうだろう?」
「は…はあ…」

少々驚きつつも、オレは流れでその封筒を受け取ろうとした。
だが、受け取る直前で「冬獅郎の彼氏」という言葉が頭をよぎり、あわてて手を引っ込めた。

「なんだよ」
「いやいや…うけとれねーだろそんなん!オレは冬獅郎のか…か…彼氏だぞ」

改めて言葉にするとはずかしいもんだ…。

「誰がだ!オレのか…か…か?」

冬獅郎もはずかしいらしく、こっちは言葉にすらなってない。


「とにかく受け取れねーよ!一応オレだって男だ!」
「かんけーねーだろ!オレの方が年上なんだぞ!」
「見た目はがきんちょだろーが!」
「ああ?なんだと!」

あ…やばい…冬獅郎の一番気にしているコトを言ってしまった。
でも事実なんだけど。
それに、こいつは中身も割とガキなのだから、間違ってはいない。
普段理性の固まりに埋もれているせいか、素を出したときのワガママさ加減は、少々引く。
でもそれがまたかわいらしいのだから、オレも始末に追えない。

しばらく怒りでぶるぶる震えていた冬獅郎だったが、すぐに「ほう…」とため息をついてベッドに座りなおした。

「まあいい…でもコレはやる」
「いいって…」
「とにかく受け取れ。そして話しを聞け」
「……おう」

このまま言い争っていても時間の無駄だし、これ以上怒らせて元旦早々剣かは避けたい。

言われるままに封筒を受け取ると、想像より分厚い。
高校生へのお年玉ってのはせいぜい1万とか多くても2万とかが妥当ではないだろうか。
何か中身は違うものなのだろうか。

封筒の中身を覗いてみると、やはりお年玉…というか札束だった。

「ちょ…コレいくら入ってんだよ…」
「しらねえ。松本が用意した」
「乱菊さんが?」
「オレ現世の金の扱いしらねーもん」

話しを聞いてみると、オレにお年玉をあげようと思った冬獅郎だったが、こっちの金の扱い、まあ両替みたいなもんか…がよくわからなかった…というか面倒で乱菊さんに任せたと。
そして、この金額のわけは…

「お前と…その…いろいろ買いもんとかしたり、どっか…遊びに…とか…」

ということらしい。
要するに、冬獅郎は高校生で金のない おれに「どっかつれてけ」と単純に言うのは悪いと思い、お年玉という形で、二人のデート代にしようとしたらしい。
オレとしては何か複雑ではあるが。

だが、冬獅郎が「どっかつれてけ」とオレにおねだりして来たというのはとてつもなく嬉しい。
ほとんどはオレから誘うし、冬獅郎は普段から人に者をねだったりしないのは誰でもよく知っている。
そんな冬獅郎が人に者をねだったり甘えたりするのを相当我慢していると知っているのはごく少数だ。
そんな冬獅郎だが、今回は経費は自分で出すのだから、少しは気が楽なのだろうか。

しかし、お年玉とは思えないこの金額…どうしたもんか…。
こんな大金オレにはどう熱かっていいかわからない。

「なあ…冬獅郎はどこいきたいんだ?」

何か大きな買い物でもしたいのかと思いながら聞いてみると「別に…」との素っ気ない返事。

「でも…こんあに金あるんだったら…例えばなんかうまいもん食って…遊園地行って…映画観て…ゲーセン行って…とか…」

我ながら、情けないことにこんなことしか思い浮かばない…。
言ってしまってから、恥ずかしくなってしまった。

ふと冬獅郎を観るとなんだか、そわそわしている。
そしてちらりとオレの顔を見ると、おずおずと口を開いた。

「一護と…オレの服…とか買いたい…それから…初詣行って、あと…メシくったりとか…」

言いながら、冬獅郎の顔はどんどん真っ赤にになり、声はどんどん小さくなる。
こんなにこいつは可愛いかっただろうか…。
うんかわいい。

さっきのオレよりも恥ずかしそうに言う冬獅郎も、考えてるのはオレと似たり寄ったり。
まあそんなもんか。


ガキはガキらしいデートをしてろってことだ。

休みはいつまでなのかを聞くと、なんと三が日は全て休みをとれたらしい。
昨年の乱菊さんの有給の乱用を大目にみてやった腹いせにもぎ取ったらしい。
今頃、乱菊さんはぶーぶ文句をいいながら仕事をしているのだろうか。
いや、隊長がいないのだから、酒でも飲みながら仕事してるか、すでにさぼり始めているかもしれない。
そんなことを想像して思わず笑ってしまうと、冬獅郎が睨み着けてきた。

「なんだよ!何がおかしいんだ!」
「ごめんごめん!違うって…っと、じゃあ、時間もったいねーから、さっさと支度して出かけようぜ」

まだ頬を膨らませている冬獅郎をなだめ、着替えをすませた。

「あ、冬獅郎!せっかくだからうちのおせち食ってけよ」
「…いや…いいって」
「いいからいいから、きっと夏梨もよろこぶんじゃねーか?」


「おにーちゃん!早く起きてー!おせち開けるよー!あと、お餅何個ー?」
「ああ、今行く!友達来てるからモチは5個!」
「あれ?もうお友達きてたの?」

とんとんと遊ぶ子が階段を駆け上がってくる足音。
慌てて窓から出て行こうとする冬獅郎の首をひっつかまえて、部屋を出た。

「あ、冬獅郎くんだ!夏梨ちゃーん!冬獅郎くんだよー!」
「え?本当?おー冬獅郎!ひっさしぶりじゃん」

ここまでされれば冬獅郎も逃げられない。
「ああ…」とか「おお…」とかごにょごyの返事を返しながら、ちょっとだけ背の高い妹達に囲まれてリビングへ連行されていった。

「さてと」

オレも顔を洗って歯を磨いて、ごうかな朝食にありつくことにしますか。












終わり…?かな。










そして本日のアニブリのちびっこ達が可愛過ぎた件。
ひつがやとそいふぉんとももは3人で飛び回ってたらいいとおもうよ!
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