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明け方、けたたましく鳴り出した目覚まし。

オレはいつものように布団をかぶったまま、腕を伸ばして深いきわまりない音の元を探して手をたたみにばんばんと打ち付けていたが、はっと重要な事を思い出して飛び起きた。
改めて目で目覚まし時計を探し、音を止めた。

時刻は午前4時。

今日は誰にも告げず、こっそり現世に出かけねばならない。
多少の手続きはあるので、完全に秘密には出来ないが、出来るだけだれにも知られたくなかった。

オレは、眠い目をこすりながら素早く身支度をし、現世に降りる為自室をでた。
夏とはいえ、これだけ朝が早いと空気もひんやりしていて心地よい。
目立つ事を避ける為、隊首羽織は置いて行く。

急いで手続きを済ませ、現世へと向かった。

多少時間がずれたり、思った異常に現世へは時間がかかったりするが、今回はすんなりと事が進み、まだ人間達の多くが眠っている時間に空座町に着けた。

真っ先に黒崎医院へと向かい、霊圧を消して近づいた。
あそこには13番隊の朽木が居候している為、気が抜けない。

音も無く屋根に降り立ったオレは窓から一護の部屋を覗いてみた。
カーテンはひかれているが、隙間から中をうかがう事は出来る、
どうやら一護はぐっすりとねむっているようだ。
部屋の奥に目を向けると一護の学習机のペン立てに、小さな笹飾りを見つける事が出来た。

窓枠に手をかけ、すこし力を入れると窓はすっと開いてくれた。
不用心だとは思いつつ、オレは自分の幸運に感謝した。

忍び足で中に入る。
なんだか悪い事をしている気になってしまうが仕方がない。

ベッドの脇に足音をたてずに降り立ち、一老い一護が目を覚ましていないかどうか確認する。

ここのところ現世も暑い日が続いているようで、一護もかけて居たらしいタオルケットを脇にまるめて、手足を思う存分のばして寝ていた。
そんな姿を見つめてしまったオレは慌てて視線をそらすと、机に飾ってある笹飾りへとむかった。

夏だけあって、カーテンを閉めていてもうっすらと室内は明るく、字を読む事は容易いことだった。

『今年は海にいけますように』
『宿題がなくなりますように』
『もっと芸術センに磨きがかかりますように』


どうやら、この三つは黒崎の願い事ではないらしい。

だが、子の3枚の短冊の他には、折り紙を切ってつくった輪っかの飾りや紙を切り抜いてつくった星などがつってあるだけだった。

とんだ無駄足だったろうか…と重いため息をついたオレはふと思い立ち、黒崎の学習机の引き出しを見つめた。

もしかしたら、あいつもオレみたいに人に願い事を見られるのを嫌って、短冊を海田はいいが飾り付ける事は出来ずに仕舞ってあるかもしれない。

だが、人の引き出しを勝手に開けるのはとてもためらわれた。
探すのであれば、早くしないと黒崎が起きてしまうかもしれない。
だが、もしも人に見られたくないものが引き出しには行っていて、それをオレが見てしまったら…。

しばらく考えていたが、もともと黒崎の短冊をこっそり見に来ている事自体わりと後ろめたいことなので、決心したオレはそっと一番上の引き出しを開けてみた。


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